【読書】チャヴ 著:オーウェン・ジョーンズ
日本の未来予想かのような展開がイギリスでは起きている。
そう思わせられる、数々の事象が記されていた。
”チャヴ”とは専ら労働者階級を侮辱する言葉としてイギリスでは広く浸透しているようだ。
メディアはいかにも”チャヴ”らしい出来事を取り上げ、大衆の嫌悪・憎悪が向かうよう操作し”チャヴ”へのヘイトはより強固なものへと進化していく。
この本で特に印象に残ったのは「政策」と「自己責任」だ。
自分たちの日常に政治を意識する機会はあまりないがどんな政策をうつかによって、われわれの生活は大きく影響を受けるのだと思い知らされた。
イギリスでは産業の衰退に始まり、コミュニティの崩壊、犯罪率・失業率の悪化等サッチャー政権下からのあれやこれやが記されていた。
大半がエリート階級で占めるイギリスの政界は、エリート階級によるエリート階級のための行政へと移行し、苦境を強いられる弱者は搾取された上に、その原因は自らの怠惰によるものと決めつけられる。
日本でも「自己責任論」という言葉を耳にする機会が増えたが、格差が広がっている日本で果たしてどこまでを自己の責任として問えるだろう。
著者が記していた通り「『自分の置かれた状況に責任がある』という風潮はあるが、その運命にふさわしいわけでもなく、原因を作ったわけでもない」のである。
社会の分断は大きな危険をはらむ。
当たり前ながらより一層強く認識させられた。
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