記録録

日々の記録を書き記したもの

【読書】星を継ぐもの 著:ジェイムズ・P・ホーガン

不朽の名作といっても過言ではない、古くから読み継がれている本としてタイトルくらいは耳にしたことのある人も多いであろう『星を継ぐもの』。

月面調査隊が真紅の宇宙服をまとった死体を発見した。すぐさま地球の研究室で綿密な調査が行なわれた結果、驚くべき事実が明らかになった。死体はどの月面基地の所属でもなく、世界のいかなる人間でもない。ほとんど現代人と同じ生物であるにもかかわらず、5万年以上も前に死んでいたのだ。謎は謎を呼び、一つの疑問が解決すると、何倍もの疑問が生まれてくる。やがて木星の衛星ガニメデで地球のものではない宇宙船の残骸が発見されたが……。

 

たまたま知り合いと本について話をしているときに、面白かった本として挙げられていて手に取ったが中々に難しい内容で、途中で挫折していた本書。何度目かの挑戦を経て漸く読み終えたとき浮かんだ感想は「面白い。早く続きが読みたい」だった。

まずのっけから、月面で宇宙服を着た遺体が発見されたが、その遺体の推定年数が5万年前というから驚きである。

姿かたちは地球に住む”人間”と同じ形をしているこの人物はどこで生まれ、どこに行こうとしていたのか。同胞たちは今何をしているのか。

多くの謎をはらんだ発見を、世界の英知を集結し解決にあたる過程は推理小説さながら。色々なアプローチで解明にせまる部分は、徐々に輪郭がハッキリしてくるような面白さで惹きつけられた。

 

謎の解明とその反証の繰り返しや、物語の終盤の人間の起源についても新たな提起など、論理的な推論や本当にそうであったのではと思わせる緻密な構成で、これは確かに読み応えのある作品だと感じた。

 

【読書】教養としての投資 著:奥野一成

これまで読んできた投資関連の本とは若干趣の異なる内容が多かった。

その理由の大きな一因として、投資期間の長さがあると思う。ほかの本では、ある程度株価が上がったときの利確を前提としたチャートや指標の捉え方を書いていることが多いが、本書は“永久”に持ち続けることを前提とした投資を行っている。

したがって、その企業を見る視点やPERといった指標も基準とするものが違っていて面白いと感じた。

 

特に参入障壁といった言葉が多く出てきたが、投資先がどのような参入障壁を持っており、その強度がどれくらいなのか、それを視野に入れたうえで投資判断を下すことで好不況に左右されず長期的な投資が可能になるのだと感じた。

 

投資先へのスタンス

本書では先述した通り、長期保有を目的とした投資が前提となっているため『投機』と『投資』の違いも以下の通りである。

投機・・・その株がいくらで売れるか

投資・・・その会社がいくらの利益を出すか

上場企業は株価があるゆえに、視点が『投機』に傾きがちになるが、非上場のつもりでその会社の利回り/強み/将来性を考える。そうすることで会社を見る視点をずらすのである。

株式市場は短期的には人気投票に過ぎないが、長期的に見れば付加価値の計測器として機能する

短期での株価推移をみるとその時々のトレンドや出来事で上下をしているが、長期で株価を見てみると利益の増え方と株価はリンクするという。

こういった企業に投資できれば、細かい売り買いをしなくても長く保有することで投資成果が得られるのだ。このことからもいかに利益を継続的に生み出せる企業を見つけるかが重要となってくる。

 

参入障壁

どのようなビジネスモデルを持っているかが投資可否を判断するのに大きな判断材料となるが、その中でも参入障壁の有無は大きな材料となる。大量生産低コストのような発展途上国型ビジネスモデル(労働集約型)は安い人件費さえあればどこでもできるため、参入障壁は低いといえる。

巨大な設備投資が必要なものは参入障壁が高いと思われがちだが、これも一定の資本があれば克服でき本質的な参入障壁とはなりえない。

ではどういった分野が参入障壁が高いといえるのかといえば、米国でよくみられるサービスも含めた総合力のある先進国型ビジネスモデルがその一例である。それ以外にも確固たるブランドを築いている企業は、ほかの企業が同じ製品を作れたとしても販売網や認知度といったマーケティング戦略・ブランド構築に多大なコストがかかり簡単には競合することが難しく参入障壁が高いと言えるだろう。

また利益を大きく伸ばせるかは「強さ×面積」による。その強さの源泉は参入障壁であるためそれに支えられた強さがあれば海外でも利益を大きく伸ばせる可能性はある。

 

構造的に強靭な企業

売らなくていい会社を見つけるためには”構造的に強靭な企業”を探すことだ。

①高い付加価値

世の中にとって必要性が高ければ高いほど付加価値が高いといえる。

本書ではディズニーが例に挙げられているが、ディズニーがなければ映画館も賑わわず、レジャースポットもなくなり、プレゼントの幅も狭くなる。これだけの価値がディズニーにはあるため、多少高くてもお金を出す人は多いのである。

②高い参入障壁

理想は「今から競合相手としてその分野に参入しようと思われるか」がある。

コーラやディズニーの分野で新たに参入をしようとしても圧倒的シェアを握られている状況で太刀打ちできると思える人はいないだろう。そういった圧倒的な強さがあると企業としてかなりの強みとなる。

③長期潮流

「今はこれが人気」「来年はこれが流行りそう」といった短期的なものではなく、普遍的・不可逆的なもののことである。

最も代表的なものは「人口動態」。今後世界的に人口は100億人を突破する見込みがありこれが変わることはないだろう。こういったただの予想ではなく将来起こりうる可能性が確実かつそれが変わることがない分野に携わっているビジネスを行っているかどうかが投資判断の基準となる。

 

どこに投資するか

投資対象は株式、コモディティ、不動産等多くあるが本書では株式以外の投資先についても触れていた。

・FX、コモディティ⇒それ自体に価値があるわけではなく値動きによって損得が出るものでこれは「投機」としている

・不動産⇒REITは家賃収入が分配金の原資となるが、家賃を毎年上げることは難しいため収益には限界がある

・高配当株⇒将来の企業価値を先食いしているようなもので、ある意味複利の効果を諦めているとも考えられる

 

 

【読書】ジェイソン流お金の増やし方 著:厚切りジェイソン

初心者向けで読みやすく、漠然とお金を増やしたいと考えている人には参考になる部分もありそうだと感じた。ただ本書の何割かは投資信託ETFの話に割かれているため、それ以外の投資を考えている人にとっては物足りなさもあるかもしれない。

投資のリスクを自分でコントロールすることはできません。でも、自分の人生のリスクをコントロールすることはできます。

著者のマインドの一端をうかがい知れる記述だが、確かにITバブル・リーマンショック等、投資をするにはいくらでもリスクはあってそれは一個人ではどうにもできないものである。ただ自分の人生は別で、リスクをとってチャンスをつかみに行くか、リスクを回避して今の延長線上を進み続けるかは自分自身で選択ができる。自分にとって何がリスクか・どこまでだったら許容できるか、場面場面でその判断を下し人生のリスクをコントロールできればと感じた。

 

【4%ルール】

老後の2000万円問題が取り沙汰されて久しいが、アメリカ・トリニティ大学の論文でFIRE(経済的自立と早期リタイア)するために必要な資産の目安は年間支出の25倍という「4%ルール」が示された。これは理論上、年間支出の25倍の資産を築けば年利4%の運用益で生活費を賄える、ということである。

貯金の利子では到底年4%の運用益を出すことは難しいが、巷にあふれる投資の中で胡散臭いものを除いてもそれを見つけ出すことは難しくなさそうだ。また、理論上であっても目安があることで無駄に将来を不安がらず、やみくもにお金をため込むのではなく目標をもってた資産形成をしやすいと感じた。

 

【投資商品VTIについて】

著者は数ある投資先の中でも”VTI”への投資を薦めている。S&P500などはなじみが深いが、VTIではそれに加え中小企業も含まれている。次なるユニコーン企業など将来的に大成長する可能性のある企業への投資もでき、組入企業が多いから分散投資にもなる。

 

【米国株への投資】

著者は投資信託ETFの投資先として米国株を推奨している。             その理由としては以下のとおりである。

①米国の市場が強い⇒世界の企業時価総額でも上位を占める

②日常の中でも多く利用(IphoneGoogle・インスタグラム…)

③グローバル企業が多く単にアメリカ市場のみの影響を受けるわけではない

それに加えて、米企業トップ経営者が自社株価を上げることを重視している点がある。  アメリカではCEOの報酬が株価と連動していることが多い。株価の上昇が彼らの収入に比例するため、より「いかにして株価を上げるか」といった感覚が鋭いということである。

 

これと併せて参考になったのが”投資しないもの”に関する記述。

例えば暗号通貨はたびたび話題に上がるが、ここへの投資は避けているという。その理由が、暗号通貨の価値・将来性が見えないことと、何故ここまで急騰しているかの理由がわからないためという。

かつて起こった「チューリップバブル」はチューリップ自体に価値があったわけではなく、「チューリップが儲かるらしい」という噂が人々を過熱させた。

今の暗号通貨もそれに近いものを感じているらしく、暗号通貨それ自体の価値ではなく人々の思惑によって価値が決まっているとある。

あらゆる投資に関係する話だが、その価値が何によって決まっているか、はきちんと見定める必要があるとこの記述によって気づくことができた。

 

またこれに近い話でコモディティ投資もあまりお勧めはしないようだ。

その理由は、例えば金や石油それ自体が成長することはなく、「○○に価値はない」と人々が思った時点で暴落する危険があるためだ。

 

その他、政府の意向に大きく左右される中国株や流動性の悪く手間のかかる不動産投資等も挙げられていた。

 

 

 

 

【読書】BRAIN DRIVEN 著:青砥瑞人

モチベーション・ストレス・クリエイティビティに関して書かれている本。

 

ここでも大事なことは”自分を知ること”であると書かれていた。

何に感性が働き、何を好み、どういった反応が自身の中で起こるのか、それを知ることで場面場面での対処や人生を歩んでいく上での指針ができるということなのだろう。

 

「自分を高める」という命題を達成するためにはメタ認知として自分自身を客観視・俯瞰しした状態が必要となる。

その為にも、自分を客観的にとらえてみる時間が求められる。日常的に自分のことは理解できていると思いがちなため意外と自分自身に関することについてスルーしがち。それを意識的にその時間を作ることで、情報として脳に残す行為が大切になる。

人間の行動と志向を理解するには、密接に関連する感情を理解することなしには難しい

モチベーションやその他の場面でも、その感情によって行動や思考は大きく影響を受けるという。その時に自分の感情や感覚を見過ごしてはいつまでたっても、パフォーマンスを高めたり成長につなげることができないのだ。

脳が何かを欲したり、求めたりする状態は、ドーパミンを誘導することで注意力や記憶定着率を高める効果や、新たなものをクリエイトする能力の増大効果も期待できる。

パフォーマンスを上げたいと考えているならば、食事は腹八分目にとどめておき、ある程度欲求が起きやすい状態でいることが効果的なようだ。だからこそ、仕事やすべきタスクがあるときに空腹を感じたら集中力を高めるチャンスと捉える考え方もできるだろう。

繰り返し独特な作法をすることで、自分のモチベーションを高めるスイッチになる。

本書で一番参考となった部分。

モチベーションを高めたいときに、独特な身体的動作を行ってから取り掛かることでその作法がモチベーションを高めるスイッチとして”ON”状態に切り替えてくれるのである。これは身体的動作に限らず、モチベーションの高まるもの(好きな音楽やアニメのシーン等)を思い浮かべてそれをきっかけにスイッチを入れることでもいいとある。

いずれも、その作法がモチベーターとなり自発的に高揚感を生み出せるような仕組みとなるのである。ここでのポイントは”高揚感を意識して作法を繰り返すこと”だ。

これまでモチベーションをその時の自分の気分頼りにしていたことが多く、いざ取り掛かるとなるとモチベーションが全く上がらず結局何もしないといった場面が多くあった。この方法を知れたことで今後のタスク処理の一助となれたらと感じた。

 

何をモチベーションとするかは人それぞれではあるが、嫌い・避けたいという行動原理の下嫌々行う事(嫌避モチベーション)は、あまり効果的とは言えないようだ。

なぜなら自分が思い描いたこととは異なることをしている脳の状態に近づき、”やらされている”と感じてしまうからである。また、なによりそういったモチベーション状態では継続させることが困難である。

逆に効果的な反応として「好接モチベーション」がある。これは望んで刺激や情報に向かう状態で新しい学びの情報や場に身体を導くものとされる。この状態だとドーパミンが出ていてノイズに対して注意が向きにくくなるという利点もある。ただ、ノルアドレナリンによる強化は得られていないため、完全に集中しきれている状態ではない。そのためタスクが困難なほど嫌避モチベーションに代わりやくなってしまう。そのため、学びや行動を始めるきっかけとして好接モチベーションを引き起こし、それをいかに「学習モチベーション」に移行させるかが重要となってくる。

「学習モチベーション」とはノルアドレナリンドーパミンが適度に出ている状態で、強い記憶を育み、あらゆる学びに最高な脳の状態である。

ノルアドレナリン反応はストレスの起点となるものの、必ずしも悪いものではない。    むしろ対象シグナルへの認知性(注意や記憶定着率)を高めるポテンシャルがあるそうだ。

 

モチベーションにもいろいろな種類があるが、それとは別に失敗への向き合い方も自己成長には大きな影響がある。

失敗したときに素直に認識し、成長への栄養素と捉えられるような認知的柔軟性が高い人のほうが、物事を継続することができ後々成長へとつながることが多い。

 

また、心理的安全状態を作ることもモチベーションを考えるうえで大きなポイントとなる。モチベーションを高める・行動をするときに割くエネルギーを保持するためにもその前提として心理的安全状態が必要なのである。

心理的危険状態を心理的安全状態に移行させるには

目的やゴールを設定する

目的やゴールが曖昧だと不安を感じやすくなり前進しにくくなる。それを設定することですべきことを明確にし、また、それによりドーパミンが誘発されさらに前向きにモチベーションを支えてくれる効果も期待できるようになる。

しかし、何事も目的やゴールが定められるわけではないので、そういった場合は曖昧さやカオスな状態を受け入れそれを楽しむ・そこで成長差分を認知して好機ととらえる、マインドセットが重要である。

 

自分の状態に気づくこと

モチベーションがどのように引き出されるかについては、SEEK・WANT・TRY・LIKEの四つの情動を理解するといい。この四つの情動が自分にとってはそれぞれ何か整理することは、モチベーションを高めていくうえで有用となる。

また、日々の中で何を感じたか・なぜそう感じたかを書き留めておくことも大切である。その時々の感覚や感情を書き留めておくことで自己の状態に気づきやすくなり必要な時にモチベーションを高めやすくするためである。

他にも、普段から自己と向き合い内部環境とコミュニケーションが行われていると、自己にとってポジティブなシグナルへの誘引、いわゆる「引き寄せ効果」が高まる可能性もある。これは報酬予測感に気づきやすくなるためである。

 

意識的に「良いところ」を見つける

人はダメな部分に目を向けがちである。反省は必要な行為ではあるが、そこばかりに注意するのではなく、「良かったところ」にも意識を向ける必要がある。そうすることで自己肯定感が高まり、学びのモチベーションにもつながる。またそれが次の挑戦の時に前向きな姿勢へと変えてくれるのである。

 

ものごとの捉え方を見直す

特に仕事をする際、モチベーションを必要とする場面が多いが、その時お金をモチベーションとするか経験をモチベーションとするかでその後のモチベーションは変わってくる。お金のみをモチベーションとしてしまうと、結果がすべてとなるため先がどうなるかわからないことに関してモチベーションが上がりづらくなってしまう。逆に過程に重きを置いて取り組むことで記憶もカラフルになり、今後新たに取り組み事柄についても前向きにとらえることができる。

 

 

 

 

 

【読書】書く瞑想 著:古川武士

以前からジャーナリングやブレインダンプといった類の「書き出す」行為の効果を見聞きはしていたけれど、中々続かなく習慣として身についていなかった。          ここ最近、頭の中がごちゃごちゃしている感覚があり一念発起するつもりでこの本を手に取った。                                   「書き出す」ことの効果を再認識し、モチベーションにつなげる・継続していけるよう意識のスイッチをオンにするいいきっかけとなった。

特に印象に残ったのが下記の部分。

『ホテルの部屋がすっきりしている理由は、モノが少ないから。自分の部屋があれるのは整理整頓ができていないからではなくモノが多いことに起因していることが往々にしてある』

確かに、スケジュールを立てる時や仕事をこなすとき”したいこと、すべきこと”ばかりが出てきて、結局そのしわ寄せが別の部分で露呈することが多々ある。        書き出すことで必要なものの取捨選択がしやすくなり”何をやめるか”までできれば今の生活にもだいぶ時間的余裕が生まれそうで、それだけでもやる価値があると感じられた。

書くことの効果

・自分の内側にある感覚や直感を言葉にして、心が反応したことを深堀する

⇒それを通づけることで”自分”がどんどん明確になる

・不安、緊張の原因となっている欲求、感情、衝動を言語を通じて開放する

・潜在能力、直感、気づきを引きだすための1つの鍵

⇒人脳基底核は手を動かすことで刺激される

・あわただしい日常では「やるべきこと」に追われがち

⇒「感じること」を軸に感受の時間をとって、ストレスケア&やりたいことを見つける

・自分の感情、状態を自覚できコントロールしやすくなる

・客観視できるようになり、課題の解決方法が見つけられやすくなる

 

 

デイリージャーナリング

・マイナス、プラス両方の感情を書き出すことがポイント

⇒感情の全幅を味わうことで心全体を感じられるように

⇒良いことだけに目を向ける見せかけのポジティブではなく、あるがままを受け入れら    るように

⇒”嫌”の部分に目を向けることで”好”を知るきっかけにもなる

マンスリージャーナリング

・デイリージャーナリングを見返し自分を振り返る/行動目標を立てる

・あくまで「できたらいいな」というレベルのスタンスで

GPS振り返り(3か月に1回)

【読書】失敗の科学 著:マシュー・サイド

これまで数多くの失敗を繰り返しここまでやってきた。

そのたびに落ち込み、自責し、恥じ入ることを重ねてきたが、失敗したときの向き合い方を教えてくれる一冊。

 

1.失敗への反応

失敗したとき多くの人は、それを認めなかったり隠そうとする。しかし大切なのは失敗そのものではなく、失敗に対する“姿勢”である。本書では医療過誤を例に出し説明しているが、真相を明らかにし患者に正直に話したほうが結果として訴訟を起こされる確率が下がるようだ。

 

2.失敗から学習する組織とは

「1万時間ルール」という法則があるように、何年もの訓練を積み重ね直感を磨いた結果、驚くほど正確なパフォーマンスを発揮できるようになることがある。

 

これに近い環境で、例えばチェスの選手や看護師は常に自分の間違いがチェックされその結果がでる。そのたびに毎回考え直し、改善し、適応していかなければならない。これが結果としてパフォーマンスの精度向上につながるのだ。

また即自的なフィードバックはそれだけで直感的判断を向上させる効果がある。

 

逆に心理療法士の多くは、時間をかけて経験を積んでも臨床判断の能力が向上しない。その理由として、客観的データがなく各々の基準によるところが多く、患者の退院後の経過もわからないため。ある意味、暗闇の中でゴルフ練習を続けているようなものだ。

 

また何を基準として選択し・判断を下すのか。その部分がはっきりとしていないと経験がスキルと連動しない状況に陥ってしまうことになりかねない。

例えば先の心理療法士を例にとると、彼らは客観的なデータではなく「観察」によって経過診断を下すことがほとんどだ。この方法は非常に信頼性が乏しく、結果的に何が効果があったのか再現性も難しくなってしまう。有意義なフィードバック無しに改善は望めないようにこれでは対処のしようがなくなってしまうのだ。

 

3.マインドセット

人はどんな結果が出ようとそれを自分の考えを肯定する材料にする傾向がある。自分の過ちを認めることができない場合、事実の解釈を変えることで自分を正当化する。これが失敗が繰り返される一因でもあるのだ。

そうならないためにも健全な反証を行うことが必要である。               我々は「分かっている(と思う)こと」の検証ばかりに時間をかけがちだが、本当は「まだ分かっていないこと」を見出す作業のほうが重要となる。

「~しなければ」と対象群の設定を行うと、新たな事実が見えてくることもあるしそれを検証することで正しさを証明できる可能性もある。

 

4.失敗から学ぶには

失敗が起きた時、何故起こったのかより誰の責任かを重視することが往々にしてあるが、これは出来事を単純化させるだけでその非難は我々の学習能力を妨げる結果となる。失敗経験を活かすには、非難ではなく原因追求に時間をかけたほうが将来的に有用ということである。

 

失敗から学べる人とそうでない人の違いは”失敗の受け止め方”の違いが大きい。誤りにしっかりと注意を向けるような態度は学習効果と密接な相関関係がある。

またそういった受け止め方ができる人は諦める時も合理的に判断を下せるのだ。『自分にはこの問題を解決できるだけのスキルが無い』という判断を阻むものがないからだ。ある意味、自分の”欠陥”を認識することを恐れたり恥じたりせず自由に諦めることができるのだ。彼らにとって引き際を見極めて他のことに挑戦するのも、やり抜くのもどちらも成長となるのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

【読書】チャヴ 著:オーウェン・ジョーンズ

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日本の未来予想かのような展開がイギリスでは起きている。

そう思わせられる、数々の事象が記されていた。

 

”チャヴ”とは専ら労働者階級を侮辱する言葉としてイギリスでは広く浸透しているようだ。

メディアはいかにも”チャヴ”らしい出来事を取り上げ、大衆の嫌悪・憎悪が向かうよう操作し”チャヴ”へのヘイトはより強固なものへと進化していく。

この本で特に印象に残ったのは「政策」と「自己責任」だ。

 

自分たちの日常に政治を意識する機会はあまりないがどんな政策をうつかによって、われわれの生活は大きく影響を受けるのだと思い知らされた。

イギリスでは産業の衰退に始まり、コミュニティの崩壊、犯罪率・失業率の悪化等サッチャー政権下からのあれやこれやが記されていた。

大半がエリート階級で占めるイギリスの政界は、エリート階級によるエリート階級のための行政へと移行し、苦境を強いられる弱者は搾取された上に、その原因は自らの怠惰によるものと決めつけられる。

日本でも「自己責任論」という言葉を耳にする機会が増えたが、格差が広がっている日本で果たしてどこまでを自己の責任として問えるだろう。

著者が記していた通り「『自分の置かれた状況に責任がある』という風潮はあるが、その運命にふさわしいわけでもなく、原因を作ったわけでもない」のである。

 

社会の分断は大きな危険をはらむ。

当たり前ながらより一層強く認識させられた。